網膜剥離
網膜の一番外側の網膜色素上皮層と、残りの内側の9層の感覚網膜組織が剥がれる病気です。
I. 裂孔原性網膜剥離
網膜を硝子体の牽引や網膜変性により網膜に孔が生じ、その孔から液化した硝子体が網膜下に侵入して、網膜が剥がれる病気です。
症状:
光視症、飛蚊症を前駆症状として、視野欠損、変視症、視力障害が起きます。
診断:
精密眼底検査(瞳孔を開く点眼薬で瞳孔を開き、眼底を調べる検査)を行い、網膜剥離や網膜裂孔を見つけます。
好発しやすい人
もともと網膜や硝子体に変性(網膜格子状変性等)がある人、中等度以上の近視の人
治療
1. 裂孔閉鎖手術
貯留した網膜下液を、強膜側から穴を開けて排液し、裂孔を冷凍凝固またはジアテルミー凝固によって閉鎖し、網膜裂孔のある部位の強膜の外側にシリコーンスポンジを縫い付け、感覚網膜と網膜色素上皮を接着させます。
2. 硝子体手術
裂孔にかかる硝子体の牽引を解除するために硝子体を切除し、眼球内の液体を空気に置き換え、網膜下液を眼内から排液して剥離した感覚網膜と網膜色素上皮層を接着させ、裂孔の周囲を眼内からレーザーで光凝固します。その後、眼内を空気のままか、吸収の遅いSF6ガスやC3F8ガスを注入します。
II. 続発性網膜剥離
1. 牽引性網膜剥離
糖尿病網膜症、穿孔性眼外傷、未熟児網膜症等で形成された増殖膜が収縮して網膜を牽引し、網膜が剥離します。
2. 滲出性網膜剥離
網膜血管内皮細胞の破綻(網膜血管腫等)により網膜血管から、あるいは網膜色素上皮層の障害(原田病、中心性漿液性脈絡網膜症、高血圧網膜症、腎性網膜症、妊娠中毒症、脈絡膜腫瘍等)により脈絡膜側から、網膜下に滲出液が貯留して網膜が剥離します。